「…雅覚えてる?

初等部3年の時、愛梨って京介クンのこと好きだったじゃない?

でも、京介、あの時は和佳奈のことが好きだったらしくて。

それを聞いた愛梨が大泣き。

あれはビックリだったぁ。」

『そんなこともあったねぇ♪

でも、今恋愛しないのとは関係なくない?

あんなのもう昔のことじゃん。』

「きっとさ、京介クンに好きな子がいたのがショックだったんじゃなくて、本気になっ
た時傷つく痛みが分かっちゃったんじゃない?

本気になったら失ってしまうかもしれない、傷つくかもしれない。

それが、たったの小3で分かっちゃったんじゃない?

もう、そんな苦しい思いをしたくないんじゃない…?

それはきっと今も変わらないんだよ…。」

『なるほど…。

後さ、いつからか急に愛梨ちゃんは本気で笑わなくなったよね…』

「ねっ…。

あれは、いつからだろう…

本当にいきなりだったよね。」

そう―――

今の愛梨は笑わない。

笑うとしても作り笑いばかり。