そうして、幸せムードの中、ほんの少し感動ありの結婚式、披露宴は終わり、帰りのタクシーの中。



「恵里、本っ当に綺麗だったよねぇー」


「うん。幸せそうだったし」


 途中まで道が一緒の奈津美とカオルは、さっきの式のことを振り返る。


「いいよねー。結婚って」


「うん」


「そういえばさぁ、あたしの高校の時の友達なんだけど、去年結婚してね。できちゃった婚だったんだけど、この間子供産まれたって」

 カオルが思い出したように言う。


「へぇー……あ、でもあたしの友達にもいるよ。できちゃった婚ではないけど……そのコは二十歳で結婚して、それで、今二人目を妊娠中なんだって」


「やっぱり多いわよねぇ、ていうか、年々増えていってるっていうか」


「あたし達もそういう年になってるのね」


 今日結婚した恵里も奈津美やカオルと同い年だし、それ以外にも昔の友人は結婚し、もう子供がいて、家庭を持っている同級生は増えている。

 結婚なんてまだまだ遠い話だと思っていたが、そう考えると、他人事でもないような気がする。


 結婚かぁ……

 ぼんやりと考えながら窓の外を見ると、もう奈津美の自宅コーポの近くだった。


「あ、運転手さん。そこのコーポの前で止めて下さい」


「はい」

 運転手が言われた通りにコーポの前で止まる。


 カオルはまだ家が遠いので、そのまま乗って帰るので、奈津美はここまでの料金を精算し、タクシーを降りた。


「じゃあね、カオル。また月曜日」


「うん。おやすみー」

 そう言って別れ、タクシーがすぐそこの角を曲がるまで見送ると、奈津美はコーポの中に入った。