「やった! すごーい!」

 加奈も嬉しくて拍手をする。


「ほら。加奈」

 涼介がぬいぐるみを加奈に差し渡す。


「え……いいの? せっかく涼介が取ったのに……」

 加奈はぬいぐるみを受け取りながらも聞いた。


「欲しかったんだろ? つうか、そうじゃなかったら何のために俺は頑張ったんだよ」


「そっか……ありがと!」

 加奈はぬいぐるみを大事に抱き締めた。

 それを見て、涼介は満足そうに笑った。


『何のために俺は頑張ったんだよ』


 それは遠まわしに『加奈のために頑張った』ということだ。


 嬉しい。嬉しすぎる。

 このぬいぐるみは、絶対に大切にする。


 それから、涼介と加奈は、今日始めての二人のデートらしくして楽しんだ。


 それこそ、時間を忘れてしまいそうになるくらい、楽しかった。