ゲームセンターへ行くと、自由行動といった感じで各々遊んでいる。……というか、旬が子供のように勝手に行動しているので、それに奈津美も付いて行って、結果こうなったと言える。


 涼介は両替をしに行き、加奈はクレーンゲームを見て回った。


 ……あ。


 加奈はその中の一つの前で止まった。


 可愛い……


 ガラスケースの中には、加奈が好きなキャラクターのぬいぐるみがあった。


 欲しいなあ……でも、無理っぽいな。穴から遠いし、ちょっと埋まってるし……


 そう思うと尚更欲しくて、加奈はガラスケースに釘付けになった。


「加奈? 何かほしいのあるのか?」

 涼介が加奈の隣にやってきた。


「あ、加奈が好きなヤツじゃん。あれ、ケータイにつけてたよな。待ち受けにもしてたか?」


「う……うん」


 覚えてたんだ。と、加奈は感動してしまう。


「……でも、あれって脇役じゃねえの? 可愛いのか?」


「可愛いよ! 脇役なんかじゃないもん! 涼介には分かんないの!」

 加奈はついムキになって言い返す。


「そんな怒るなって。取ってやるから」

 そう言って、涼介は百円玉を入れた。


「え……いいよ、別にっ……難しそうだもん!」


「大丈夫だって。俺、こういうのは得意なんだからな」

 余裕の表情で、涼介はボタンを押してクレーンを動かす。


 加奈はその動きを食い入るようにして見守った。


 狙いのぬいぐるみの上でクレーンが止まる。そのまま下がって……ぬいぐるみは全く持ち上がらずにクレーンだけが上がった。