「じゃ、俺と涼介で買ってくるから、ナツと加奈、座っといて」

 ファーストフード店に入り、空いている席を指差して旬が言った。


「うん」


「分かった」

 そうして頷き、二人は席を取りに向かった。



 向かい合って座り、加奈は早速携帯をいじり始めた。


 こんなことをするのは感じが悪いのは分かっている。

 でも、普通にしてなんていられなかった。


 違うだろうと思っていても、涼介が奈津美のことを気に入っているような気がしてならない。

 そして、そんな相手と、仲良く話してなんていられなかった。


「か……加奈ちゃん。えっと……ど、どのくらいアトラクション回ってきたの?」

 奈津美の方が何かを話そうとして口を開いた。


「……一応、一通りは乗りました」

 奈津美の方を見ることもできず、加奈はそれだけ言って返した。


「そ……そう……どうだった? 楽しかった?」

 奈津美は明らかに困惑した様子で


「……まあ、それなりには」


「……そう。よかったね……」


 それきり奈津美からの返事はない。


 最悪……


 加奈は心の中で毒づく。


 それは、奈津美のことでなく、自分自身のことだった。


 こんなの、ただ勝手に奈津美のことを妬んでるだけだ。そんなこと分かってる。

 奈津美は何も悪くない。


 なのに、幼稚な自分が、ただ態度に出すだけの嫌な行動をさせる。


 間違ってることなんて分かっているのに……