「なあ、そろそろ昼飯行こーぜ。俺、腹減った」
旬が三人に対して言った。
「うん」
「そうだな」
加奈と涼介が頷いた。
「じゃ、行こ」
旬は奈津美の手を引いて歩き始めた。
その後ろから、涼介と加奈が並んでついてくるのを、奈津美はちらっと振り返って見る。
二人は、普通に接し、話しているように見える。
あれのどこがうまくいってないのか……
「なあ、ナツ。涼介から聞いた? 今回のこと」
旬が声を潜めて言った。
奈津美は旬を見上げる。旬はいつものちょっと砕けすぎたような表情ではなかった。
何のことを聞いているのかすぐに分かった。
「うん。一応ね」
奈津美は旬にそれだけ答える。
「ごめんな? 俺から勝手に何か言うの、ダメかと思ったからさ?」
旬は奈津美の反応を窺いながらそう言う。
「いいよ。……最初から、何かおかしいって思ってたから」
「え! マジで?」
旬は心底驚いた表情になっていた。
旬はあれで何にもバレていないと思っていたらしい。
「分かるわよ。旬、態度に出すぎなんだから。……でも、涼介君から話聞いて、旬らしいと思ったけど」
少し呆れながら奈津美は言った。
「ナツ……以心伝心だな!」
満面の笑みで旬は言った。
「……何が?」
突然意味が分からず聞き返す。
「だって、俺はナツのこと何でも分かるし、ナツは俺のこと何でも分かるじゃん」
旬は自信満々の様子だった。一体、何を根拠に言っているのか……
奈津美はそれがおかしくて笑った。
「何でそこで笑うんだよー」
旬は口を尖らせていた。


