「うっ……」

 奈津美の首が物凄い力で圧迫される。

 声を出そうとしたけれど、息すらもできない。


「おまえも……裏切っただろ。他の男とイチャつきやがって」


 旬のことを言っている。

 でも、この男には関係ないだろう。裏切ったなんて言われても知らない。


 奈津美は抵抗しようとしても、声が出ない。


 苦しい。意識が遠くなってきた。


 急に、男の手が離れた。


 気管に一気に空気が入り込み、奈津美は激しく咳き込んだ。

 咳き込みすぎて、気持ち悪い。意識が朦朧としている。


 そのせいで、体に走った嫌悪感への反応が遅れた。


 男の手が奈津美の体をまさぐっていた。


「いや……」

 叫ぼうとしたはずなのに、声という声にはならなかった。


 ぐいっと奈津美が上半身に着ているものを無理矢理胸の上まで上げられた。


 露出した肌が夏の夜の空気に触れる。


 体が強張って動かない。



 男の手が奈津美のスカートの中に潜り込み、内股を撫で上げる。


 あまりの危機的状況に、声が出ない。


 やだ……助けて……助けて、旬!



「ナツ!」


 奈津美が心の中で叫んだのと同時に、待ち望んだ声が聞こえた。


 男の体がビクッと動き、手の動きが止まった。