「お待たせいたしましたー。きのこのハンバーグとライスのお客様」

 店員が二人のテーブルにやってきた。


「はい」

 奈津美の注文したものなので奈津美が返事をする。


 店員は「失礼いたします」と言いながら、奈津美の前にハンバーグの乗った皿とライスが盛られた皿を置き、軽く頭を下げて下がっていった。


「あたし、先に食べるね」


「うん。いーよー」


 旬の方はハンバーグとミックスフライのプレートというものと頼んだので、まだ時間がかかるらしい。


 奈津美は携帯をテーブルの端に置いて、ナイフとフォークを手にとった。


 旬は暇なようで、テーブルに両肘をついて身を乗り出すようにすると、何も言わずに、奈津美の携帯に手を伸ばし、自分の方に引き寄せる。


「何?」

 旬の行動が分からず、奈津美は首を傾げた。


「んー。お揃いだなーって思って」

 片手に旬の携帯、反対の手に奈津美の携帯を持って、ニコニコしている。


 何が面白いのか、今度はテーブルに綺麗に並べて置いて、それを眺めてご機嫌である。


 飽きることなく、旬は自分の料理が運ばれてくるまで、その様子だった。


 それを見て、奈津美も頬を緩めながら、料理を食べていた。