一番下まで降りて、ゴミステーションに向かった。


 このゴミは、さっき捨てたゴミの袋の中に入れておけばいいかと思いながら、奈津美はカラスよけのシートを上に持ち上げた。


 ……あれ?


 そこのゴミ袋の一帯を見て、奈津美はおかしなことに気付いた。


 なくなってる。


 奈津美がさっき置いたはずのところは、置く前の状態と同じようになっていた。


 見間違えることはない。

 奈津美が持ってきたゴミ袋は、白の半透明のもので、奈津美が置こうとしたところの周りは、偶然にも全て青の半透明の袋だった。

 だから、何気なく捨てただけでも、はっきりと覚えている。


 さっきゴミを置いて、五分ほどだ。

 極端に回りのゴミが増えているわけでもないし、埋もれていることはない。

 それに、周りにはまだゴミがあるのだから、収集車が来て持っていったということもないはずだ。


 どういうことだ。


 首を傾げたまま、奈津美にはわけが分からないままだった。




「おはよー」


 出社した奈津美はロッカールームで着替えている奈津美に声をかけた。


「おはよ、奈津美……あ、髪切ってる」

 奈津美を見るなり、カオルはすぐに気付いた。


「うん。土曜に切りに行ったの。あと、カラーも」


「へー。何か奈津美が髪短いのって始めて見たかも。ずっと長い印象しかなかったし」


「そうね。あたし自身、これぐらいの長さにしたのすごい久しぶりだから」


 確か、短大入学時ぐらいだっただろうか。

 その時に短くしたけれど、それからはずっと長くしていたのでカオルにはそうかもしれない。


「でも、すごくいい。その髪形も色も似合ってる」


「ホント? ありがと」


 カオルにも好評だ。やっぱり切ってよかった。