「いいよ。ナツがやってくれるなら失敗しても。ていうか、んな上手くやろうとしなくてもいいよ。俺のなんだし」


「……いいの? 本当に失敗しても」


「うん」

 旬ははっきりと頷く。


「じゃあ、いいけど……でも、本当に失敗して変な風になっても知らないからね」


「うん。じゃ、明日な。明日やって」


「えっ……明日?」

 突然の発言に奈津美は目を丸くする。


「うん。だって、別に明日は特に予定ないだろ?」


 明日は、旬もバイトが入っていないので、どこかにご飯でも食べにいこうか、という程度の予定だった。

 具体的にどこでどうしようとか、そんなことは決まっていないので、別に明日でも構わないのだが、それでも急すぎる。


「いいじゃん。明日の朝にでも色々買いに行ってくるからさ」


 奈津美はふうっとため息をついた。


「旬がそうするっていうならいいけどね、別に」


「うん! じゃ、明日で決てーい」

 上機嫌でそう言うと、旬は再び奈津美の膝に寝転んで顔を擦り付けて甘えてくる。


 どこまでもマイペースな旬に苦笑しながら、奈津美はその頭を撫でた。