奈津美はここで初めてちゃんと旬の友人の顔を見た。

 まず男の方。

 身長は旬と同じぐらいで、割と高い。

 自然な茶色で、長すぎず短すぎずの髪を、ワックスで無造作に立てている。


 旬の中学時代からの友人というだけあってなのか、服装などの雰囲気は旬と似ている。

 顔は旬と違ってしまりがあるというか、旬とはまた違うかっこいい部類に入るだろう。


 そしてその彼女という女の方。

 身長百六十センチの奈津美と比べても小さい。

 明るめの茶色い髪を団子にしていて、カジュアルな服がよく似合っている。


 若い今時の女の子を絵に描いたような、お洒落で可愛らしい子だと思った。


「初めまして。田辺涼介です」


「斉藤加奈です」

 二人が笑顔で奈津美に自己紹介をした。


「あ……柏原奈津美です。初めまして……」

 奈津美も慌てて二人に合わせ、挨拶をした。


 よかった。涼介も加奈も、いい人そうだ。二人ともとても第一印象がいい。


 当たり前か。旬の友達なんだから。

 奈津美はほっと胸を撫で下ろす。


 そんな奈津美のことを、涼介と加奈はじっと見ていた。


「え……?」

 視線に気付いた奈津美は戸惑った。


 何? 何か変なところある……?

 わけが分からず奈津美は自分の服装を確認したりした。


「旬がベタ褒めだったからどんな人かと思ったけど……本当に美人だな」

 涼介の方が驚いた様子で言った。


「ホント。すっごいきれい……」

 加奈も涼介と同じような反応だ。


「え……」


「だっろー? 超美人だし、超可愛いし、超自慢できるだろ。俺の彼女」

 旬が満面の笑みで奈津美の肩を抱いて言った。

「ちょ……旬!」

 人前で堂々とこんなことをする旬を、奈津美は軽く睨んだ。


「まあな。おまえの彼女ってことが信じられないぐらいな」


「失礼な。こんなにラブラブなんだっての」

 旬が奈津美をぎゅうっと抱き締めた。


「や……ちょっと……もう! 旬!」


 べちんっ!


「って!」

 奈津美に顔を叩かれ、旬はすぐに手を離した。