旬は、マンションへと向かいながら、自分がしたことを少し後悔している。


 折角奈津美が家に寄って行くかといったのに……しかも、珍しく平日に。


 でも、何となく今日はそんな気分になれなかった。


 自分でも不思議なくらいだ。


 それでも……今は奈津美と居ない方がいいのではないかと思った。


 旬の気持ちが中途半端だと、奈津美を傷付けてしまいそうな気がする。


 勿論、奈津美が旬の一番であることには変わりないけれど。


 それでも今は、ちゃんと自分の気持ちを整理することが大事だと、旬なりにそう判断したのだ。



 もうすぐ、旬のマンションに着く。その時だった。


「え……?」

 旬は無意識に声を漏らして、立ち止まっていた。



 マンションの入り口のすぐ横に、ここには居るはずのない人物がいた。



 見間違いなのではないかと思った。


 しかし、そうではなかった。




 間違いなく、ミキだった。