「やっぱ、ダメだよな……」

 奈津美の反応を見て、旬は肩を落とした。

「え、あ……違う! そうじゃなくて……」

 奈津美は慌てて否定をする。

 旬は奈津美の様子を勘違いしてしまったようだ。


「いいの? あたしが一緒で……」


 問題はそこだ。

 Wデートの、向こうのカップルのことを、奈津美は全く知らないわけで、それは向こうも同じだ。

 それに、旬の友達ということは、旬と同い年ということだ。

 皆十九歳の中で、一人だけ四つ年上の二十三歳……一人だけ浮いてしまいそうな気がする……


「うん! ていうか、ナツが一緒じゃないと意味ないじゃん。いくらダチでも、俺一人とか、絶対居心地悪いし」


 だったらわざわざ一緒に行く必要なんてないんじゃ……

 そう思ったが、流石にそれを言うのは感じが悪くなってしまいそうだったので、奈津美は黙っておく。


 というか、ここで断るのも感じ悪いかもしれない。せっかく誘ってもらってるのに、旬の友達にあんまり印象悪くさせたくないし……


『旬の彼女って、ノリ悪いんだな。ていうか、やっぱ年上って合わないんじゃねえの?』


 会ったこともない旬の友人に、陰でそう言われるのが頭に浮かぶ。


「……うん。じゃあいいよ。Wデートで」

 ネガティブな自分に負け、奈津美は旬に頷いた。


「ホント!? よかったー! 俺、マジでここ行ってみたかったんだー」

 旬は目を輝かせ、急に浮かれ出してウキウキと切り抜きを見る。


 まぁ、旬と一緒だし、旬の友達だし……大丈夫だよね?


 やや不安に思いながら、とりあえず旬を信用しておくことにした。