「でも、ゴールデンウィーク中だったら大分混んでるんじゃない?」


 そのテレビ番組も、確か休日だったはずだが、大分混雑してる様子だった。ゴールデンウィークの混雑は簡単に予想できる。

 奈津美としては、分かっててそんな混雑の中になんて、あまり行きたくない。


「いや、ナツがそう言うだろうなーってことは分かってたよ。うん。でも、その、この間中学の時からのダチに会ってさ」

 やはり挙動不審な様子で旬はまた違うことを口にする。


「ここのフリーパス付き入場券を貰ったかなんかで持ってて、それで余ってるっていうからさ、よかったら行かねぇかーって話になったんだけど……ナツはこういうとこあんまり好きそうではないし、どうかなーって思って……」


「……確かに特に好きってわけではないけど……でも別に嫌いってわけでもないわよ。旬が行きたいっていうならあたしは別にいいよ、行っても」

 奈津美は少し考えてそう言った。


 奈津美としては、高い入場料を払ってまで行きたいとは思っていない。

 だが、いやらしい話ではあるがタダで行けるのなら、行ってもいいか、と思ったのだ。

 こういう機会でもないと、行くことはないだろう。


「ホント……?」

 旬の目が輝いた。しかし、すぐにさっきまでの挙動不審になる。


「あと、さ。……一緒に行くの、そのダチとその彼女と一緒でもいい?」


「え……?」

 予想外の言葉に、奈津美は目を丸くした。


「友達って、チケットくれるっていう?」


「うん。そいつの彼女も俺と同じ高校で、仲良かった奴なんだけどな……一緒に行くかって……いわゆるWデートってやつ? ……しねぇかってことになって」


 Wデート……

 その言葉の響きに奈津美は懐かしさを覚える。


 確か、元彼と付き合っていた時に、カオルたちのカップルと数回したことがあった。


 だが、その時はいつも、一緒に食事をしたという程度だったのであまりWデートっぽくはなかったのだが……


 いやいや、何を思い出してるんだ。

 奈津美は眉間に皺を寄せて首を小さく横に振った。