旬は、奈津美の目の前でしゃがみ、奈津美に手を伸ばして、肩を抱き寄せた。


「しゅ……旬?」

 いきなり何の行動かと思ったら、奈津美の膝の裏に、旬のもう片方の腕が滑り込んできた。


「……よっと!」

 旬の声と同時に、奈津美の体がふわりと浮いた。


「えっ……」

 奈津美には、一瞬何が起きたのか分からなかった。


「何だ。めちゃくちゃ軽いじゃん」

 そう言う旬の顔がすぐ近くにあった。


 奈津美は、すぐに今の状況を理解した。


 旬に、お姫様だっこをされている。


「ナツ。太ったっていうのは、こんな風に軽々持ち上げらんないぐらいのことをいうんだよ。分かった?」

 旬は奈津美に言い聞かせるように言った。


「やだっ……下ろして!」

 奈津美はバタバタと動かし抵抗しようとした。


「ナツ、暴れたら危ないよ。大人しくしてて」

 旬はそう言いながら歩いた。


「きゃっ……」

 バランスを崩しそうになり、奈津美はとっさに旬の首に抱きついた。


「おおっ。ナツのおっぱいが当たってる」

 旬は嬉しそうに声を出した。


「もう……旬っ! 下ろしてよっ」


「はいはい……よいしょっと」

 旬はゆっくりと腰を落とし、奈津美をベッドの上に下ろした。


「ちょっと旬!」

 文句を言おうとしたら、旬は奈津美の上半身を倒し、奈津美が起き上がれないように覆い被さった。


「旬!? 何すんの?」

 奈津美が旬を睨むように見ると、旬はにんまりと笑った。


「本当にナツが太ったのか、調べるの」


「え……」


「失礼しまーす」

 旬は奈津美のTシャツの中に手を突っ込んだ。


「やっ……やだ」


 奈津美が抵抗しようとしても、旬は奈津美に体重を預けるようにしているので、思うように動けない。


「んー……別に変わりないと思うけどなあ……」


 Tシャツの中で、旬の手が奈津美の腹周りを撫で回している。


「言われてみれば、一年前よりは柔らかくなったかなぁ」


 旬に言われて、奈津美はショックを受けた。