「え……」

 旬は驚いてポカンと口を開けている。


「あっ……」

 思わず出てしまった言葉に、奈津美は焦った。


 よりにもよって、こんな、体中で拒絶するような言い方をしてしまった。


 旬の表情が、目に見えて悲しそうに歪んでいく。


「ち……違うの! 今のは……えっと……」

 必死に言葉を探すが、焦るせいで尚更言葉が出てこない。


「ごめん……ナツ、嫌だったんだよな」

 沈んだ声で言い、旬は奈津美に背中を向けた。


「何もしないから。ごめんな」

 背中を向けたまま旬は言い、それを最後に、旬は何も言わなかった。


 奈津美は、もうその場で旬に言うことが思い浮かばず、そのまま旬の隣に横になって目を瞑った。