「そうだ、ナツ。聞いて聞いてー」


 夜に、旬と電話をしていたら、何気ない会話から、突然何かを思い出したように旬が言い出した。


「俺がバイトしてるカフェあんじゃん。そこ、今度雑誌に載るんだって」


「へぇ……すごいね。……あれ? でも前も何回か載ってたことなかったっけ?」


「うん。でも前に載ったことあんのは全部ローカル誌だったけど、今度は全国版の雑誌なんだって」


「あ、そうなんだ。じゃあ、本当にすごいね。あのカフェ、すごく人気上がってるんだ」


 旬がバイトしているカフェは、地元ではかなりの人気店だが、全国誌に載るほどにまでになったとは驚きだった。

 そして、そうなることで、更に人気は高くなっていくのだろう。


「みたいだなー。俺、あんまりそんな感じしてなかったけど。忙しいっちゃあ忙しいし」


「旬。一応自分がバイトしてるところなんだから、それぐらい把握しておきなさいよ」


「ハハッ。そうだなー」

 旬は能天気に笑い飛ばしていた。