「亜紀さーん。お好み焼き追加ー」

 旬が亜紀に向かって注文をする。


「旬、まだ食べるの? もう三枚目じゃない」


 店に入って、もう一時間近く経っていた。

 何だかんだと話しながら、奈津美とカオルはお好み焼きの他に軽くつまみ系のものをとった程度だが、旬はそれに加えてお好み焼きを追加している。


「うん。だって美味いし。すっげー腹減ってるし」


「食べ盛りなのねぇ」

 旬の食べっぷりに、カオルも感心している。


「旬君って、まだ身長伸びそうよね。男は二十過ぎても伸びるって言うし」


「そうなんですか? やったー! 百八十まで伸ばすぞー」

 旬は嬉しそうに張り切る。


「そんなになくてもいいんじゃないの? 今だって十分高いじゃない」


「えー? ナツは俺が百八十なくてもいいの?」


「別に変わらないわよ。大きいことには違わないから」


「ふーん。じゃあ別に伸びなくていいや」


「何それ」

 旬の単純さに、奈津美は小さく笑った。


 そんな二人のやり取りを、カオルは黙って見ていた。