土曜日の午前九時。

 奈津美は、朝食の後片付けをした後、化粧をしようと居間に向かった。


 今日は旬とのデートの日だ。


 カオルに、安くて美味しいケーキバイキングの店ができたと聞いて、それを旬に言ったら、案の定、旬は行きたいと言った。それで今日、行くことになったのだ。


 奈津美が化粧ポーチからファンデーションを取り出した時、ローテーブルに置いていた携帯が鳴り出した。


 着信音は、メールの方だ。誰からかは見なくても、多分旬だろう。旬は丁度起きたぐらいだろうから、おはようというメールに決まってる。

 そう考えながら、奈津美は携帯を開いた。


 受信ボックスを開くと、予想通り、旬からだった。

 内容も予想通りだろうと思いながら、奈津美はメールを開いた。


 メールを見て、奈津美は眉を寄せた。


「何……これ」

 思わず呟いていた。


 そのメールの内容は、こうだった。


『ナツ…

俺はもうだめだ。

もうすぐ死ぬんだ。

まさかいきなりこんなことになるなんて思いもしなかったよ。

俺、死ぬんならはナツのおっぱいに挟まれて窒息死するって決めてたのに…

最後に、ナツに会いたかったよ…

ナツとチューして、ナツのおっぱい触りたかった。

こんなんじゃ俺、この世に未練があって成仏できなさそうだよ…

化けて出るなら、真っ先にナツのとこに行きたい。

ナツ。とりあえずそれまでは会えないけど元気でな


ナツの愛する旬より』



 何だこれは……一体どこからどうツッコむべきか。


 朝っぱらから、こんなふざけた内容のメールを送られてきても意味が分からない。一体何が目的なのか、というか、何を伝えたいのか、全く理解できない。

 しかも、今日これから会う予定なのだ。言いたいことがあるなら、会ってから言えばいい。


 とにかく、解読に試みる。


『もうだめだ。もうすぐ死ぬんだ』


 どういう意味だ。まさかこの言葉の意味の通りではないだろう。もし仮に本当なら、こんなメールなんて送ってくる余裕なんてあるわけがない。

 なのに何だ。細かい内容はともかく、これだと遺書と言うか、何と言うか……