「高校生かと思ってました…」
「高校は首席卒業してます。」
ぷくーっとほっぺを膨らませて拗ねる彼女。
「俺、笹川将也って言います。
…仲良くしていただけますか?」
突然の自己紹介で驚いたのか目をぱちくりさせる彼女。
ふわりと微笑み俺の心を鷲掴みにした。
「宮川一花と言います。
よろしくお願いしますね。」
宮川…一花さん。
可愛い彼女にぴったりな名前だ。
花のように可愛い笑顔な彼女らしい名前。
「将也って呼んでくれたら嬉しいです。
あ、ちなみに22になります。」
「将也…さんですね。私のことも一花と呼んでください。」
一目惚れして約2ヶ月。
もっと早く話しかければよかった。
あわよくば連絡先…と思ったけど流石に嫌がられるかと思ってやめた。
「じゃあこれで。」
「あ、私も上がりなので帰ります。」
「上がりなんですか?外でお話しませんか?」
「……はい。」
少し気まずそうに微笑む一花さん。
俺はそんなこと気にせず裏口付近に車を持ってきて一花さんを待つ。
「…すみません、お待たせしました…」
裏から出てきた一花さん。
後ろで緩めに結わえた髪を解いて仕事着から私服に変わっている。
ベージュのオーバーサイズのパーカー…
下は…履いてるのかな?
「あの…?」
「いや、すみません…
可愛いなと思って…」
「え?」
お店から出てきた一花さんは仕事している間とは違って表情が少ない。
「…すみません…仕事の時は愛想笑いで…
こっちが本来の私の顔です。」
本来の一花さんの顔。
笑顔はない。
どちらかと言うと無表情だ。
「いや、どんな顔してても可愛いですよ。」
「へ?」
言われ慣れてないのか少し驚いた顔でキョトンとする一花さん。
「将也さん…」
「すみません、ほんとにごめんなさい。
俺実は…一花さんに一目惚れで…」
「…はい?」
「何回も通っているうちに惹かれてて…」
「…」
「急で引きましたよね?!本当にごめんなさい。」
「…あの…」
「急に話しかけて急にこんなこと言って本当にごめんなさい!困らせるつもりはなかったんです!」
俺は一花さんに頭を下げ謝罪を続ける。
「しょ、将也さんっ、頭あげてください!」
焦ったような声が頭上から聞こえる。
…でも俺にはあげる勇気がない…
「…え?」
「顔上げてくれないから私がしゃがんじゃった」
俺の顔を覗き込むようにして下から見つめる一花さん。
しゃがんで下から覗き込んでくる姿が本当に愛らしい。
「…確かに驚きましたけど…一目惚れなんて言われたの初めてで戸惑っただけです。」