誰かを好きになるなんてもうないと思ってたけど。
勇太以上に好きになる人なんて絶対に居ないと思っていたけど。
それでも、勇太なら絶対に前に進めって怒ってくると思うから。
「…わかった。なら、将也のこと好きになったら…私から告白する。」
「…ありがとう一花。」
6月24日。
私と将也の恋が形から始まった日。
…もう分かってる。
私はきっと、…絶対、将也に恋をする。
【宮川一花side END】

【笹川将也side】
「…見事に風邪うつったね。」
一花のお見舞いに行ってから数日後。
俺は見事に風邪をひいた。
…体がだるくて会社で倒れてしまった俺。
「…だからってどうして私の家に…」
ブツブツ文句言いながら俺の看病をしているのは彼女である一花。
「…ごめん…」
「会社の人から電話あった時はびっくりしたよ。
仕事上がったと思ったら電話かかってきてたんだもん。」
無表情なのは変わらないけど軽く眉間にシワがよっている。
「通話履歴の1番上が私だっから連絡しました。
…は?って思ったよね。」
俺の冷えピタを貼り替えながら一花は大きなため息を着いた。
「…ご両親に連絡は?」
「…してない。」
しても多分なんとも思わないであろう。
「しておこうか?」
「…いや、大丈夫。」
強いて言うなら、姉にしておいてもらおう…
「携帯とって…」
「ゲームしないの。」
「違うよ、姉にだよ…」
姉からた伝えといてもらえれたら多分大丈夫だろう。
だが姉の場合人に迷惑をかけること嫌がるから俺を回収しに来るかもしれない。
「…ダメだ、頭回んねえ…」
「私がするって。
友人っていう設定でいい?」
…友人…
「そこは彼女だろ」
「はいはい。
じゃあお姉さんに電話してくるから大人しく寝てなさい。」
俺のおでこをペチンっと叩いて一花はベランダに出た。
多分、俺の頭に、響かないようにしてくれてるんだろうな…
毒舌だけど優しいってことくらい知ってるから…
「…うぅ…寒い…」
今6月だよな?
寒いっておかしいなあ…
「寒いのは熱があるからでしょ。
お粥作るから寝てて。」
「…姉貴なんて言ってた?」
「迷惑かけてごめんなさい。
外に放り出しといてもらっていいので。」
…姉貴の言いそうな事だ。
「本当にご迷惑でしたら回収しに行きますので。」
「…あー」
「でも私は別に迷惑じゃないからいいですって言っといた。」
天使だ。
天使がいる。
いや、天使なのは充分知ってるけど。