「へぇ、ここが桑嶋さんの家なんだ」

「そう。送ってくれてありがとう」

「んなの、男なら当然だ。それより、風邪引かないように、ご飯食べて、ゆっくり風呂入ってちゃんと寝ろよ」

「うん」

「じゃ、俺はこれで。また明日な」

「うん。また明日」


碧海くんが背を向けて去っていく。

碧海くんは海里より一回りくらい小さいけど、その心はこの空や目の前に広がる海くらい大きいって今日改めて分かった。

私は扉に手をかけ、ガラガラと開けた。