松田がやっと口を開いた。

「実はね、恋愛のことなんだけど…。舞岡さんなら、経験豊富というか…」

なんだ、そういうことね!

「うん。誰が好きなの??

「中森大学の池谷真奈美って子…」

どうやら、飲み会の時に松田が照れながら喋っていた人だそうだ。

初めて喋ってから、好きになってしまったらしい。

松田曰く、「フィーリング」。


「あの飲み会の時の一回きりしか喋ったことないんだけどね、すごくかわいらしくて、ノリもよくて…すごい俺のタイプ!!」


うきうきしながら喋る松田。

羨ましかった。

あんなに一途に誰かを愛せるなんて。

松田の目は輝いていた。


「私は何もアドバイスできんよ…松田みたいに心が綺麗じゃないから…」


なんだか泣けてきた。

悲しかった。

すぐにその場を立ち去った。


ねぇ、こんな私って、生きてる価値あるのかな…?


汚らわしい過去と親の虐待は私から切り離すことはできない。