そしてパウリも、私を気遣ってくれる。


パウリには、カイの事は断ると言っておきながら、私はカイと一緒にいる事を、楽しんでいる。

付き合ってもいないのに、一緒にいるなんて、周りはどう思うのかな。


「ねえ、涼花。皇帝陛下の事、本当に断ったの?」

レーナが心配して、私に小声で聞いてきた。

「うん。」

「もったいない。」

「えっ。」

「私だったら、絶対OKする。」

途端にレーナは、身体をくねらせた。

「だって、皇帝陛下よ?一生、お金持ち。約束される。」

「そうね。」

私達庶民は、いつ職を失って、貧乏になるか分からない。

元カレの暴力から逃げていた時も、そうだった。

私の職場も知っていたから、仕事も止めて、家も出てきた。