やっぱり、カイは特別な人なんだわ。

お金を持たなくても、この国にいる間は、何かも自由に手に入る。

それこそ、金額なんて気にしないで。


私とは……世界が違う人。


「涼花は、僕といると寂しそうな顔をするね。」

「……そんな事ない。」

「あるよ。現に、今寂しそうじゃないか。」

カイ。

もし、私があなたに釣り合うような、どこかの国のお姫様だったら。

こんな想いもしなかっただろうに。

でも……

一介の料理人じゃなかったら、あなたと出会う事もできなかった。


「そうだ。寂しくならない、おまじないをしてあげる。」

「おまじない?」

なんでそんな言葉知っているのか、分からないけれど、今は微笑ましく思う。

「目を閉じて。」

「こう?」

私が目を瞑ると、カイがキスをしてくれた。


「ね。寂しくなくなった。」

「うん。」

私達はお互い恋し合っている。

そう思ったら、少しだけ心が軽くなった。

「お願い、もう一回だけして。」

「涼花のお願いなら、僕は何度でもキスするよ。」

私達は道の脇で、何度も何度も唇を重ね合わせた。