レーナは、小声で呟いた。

「私はアリだと思う。皇帝陛下は日本好き。日本人の奥さん貰ったって、おかしくない。」

私は小さく微笑んだ。

「もし、日本人の奥さんを貰ったとしても、それは私ではないわ。」

「どう言う事?」

「もっと身分があって、知識の高い人よ。」

「どういう意味?」

「うーん。陛下と同じくらい偉い人。そして、いろんな事を知っている人。」

「ふーん。」

そうよ。私は確かに、カイに心惹かれている。

でもそれは、隠しておくべき気持ちで、叶わない恋だ。


「パウリはどう思う?」

「皇帝陛下と涼花の事?アイニががいるんだから、余計な事は吹き込むな。」

「ごめんなさい。」

アイニさんと言うのね。

陛下の奥さんになる人。

私はまだアイニさんに、嫉妬を覚えた。