「涼花には、お城で皇帝の為の料理を作ってもらう。」

驚き過ぎて、飲んでいた水を噴き出した。

「大丈夫なの?外国人に皇帝の料理を作らせるなんて!」

「涼花は外国人の私に、対等に話してくれた。」

「それは、あのね……頼れる人がいなかったからよ。」

「でも、涼花。信じられる人。悪い事する人じゃない。」

「それは、どうも。」


ひゃー。とんでもない場所に来てしまったと、思ったのが最後。

もうお城は目の前にあって、逃げられない。

「はい、涼花。ここ。」

車を降りたのは、お城の敷地内にある、小さな団地だった。

「料理人の為の家。涼花の家は、一番端にしておいたよ。」

「ありがとう。」

入ってみると、小綺麗なキッチンに、お洒落なダイニング。奥には可愛いベッドルームもあった。