年下皇帝の甘い誘惑

お城の3階に上がって、廊下を進む。

すると庭が見えるバルコニーが、目の前に広がった。

「ここで、カイと出会ったのよね。」

「ああ。この庭で、僕達の物語が始まったんだよ。」


軍服を着たカイは、とても素敵だった。

そのカイの側にいられて、私は幸せだった。

ううん。これからも幸せになる。


私は執務室のドアを叩いた。

「どうぞ。皇帝陛……」

伯爵は、私の顔を見て、顔を歪ませた。

「これはどういう事かな。お城にいたら、強制送還すると言っただろう。」

「それには、応えられません。伯爵。」

「なに?」

「私、このお城に戻って来ます。今度は、カイの婚約者として。」

その瞬間、伯爵はテーブルを強く叩いた。

「今直ぐ、強制送還だ!おい、誰か!」