「お互い、仕事に戻るという訳か。」

そう言って笑ったカイは、まるでおとぎ話に出てくるような王子様だった。

華奢な体に、程よい筋肉。

こんな人が皇帝陛下だなんて、ルシッカの人は幸せだよ。


「さあ、行くか。」

「うん。」

家を出ると、レーナが歩いていた。

「おはよう、涼花。」

「レーナ、おはよう。」

手を挙げると、レーナはカイに気づいたみたい。

「皇帝陛下っ!お、おはようございます。」

「おはよう、レーナ。」

緊張しているレーナに、カイはクスクス笑っている。

「涼花、仕事に行くって事は、元気になったのね。」

「うん。心配かけてごめんね。」

「ううん。さすが皇帝陛下の愛は、深いわね。」

ふふふと笑うレーナに、私もカイも、照れてしまった。