「そんな話、どこからっ!」

「皆の噂だよ。」

「噂……」


『お相手は、料理人だって?』

あの言葉が、胸に刺さる。


「ああ、涼花。悪い噂じゃないんだよ?皇帝陛下にもようやく、愛する人ができたと、みんな喜んでいるんだ。」

「はい。」

「皆、涼花が王妃になる事、望んでいるんだよ?」

私は顔を上げた。

「涼花。皇帝陛下を支えてくれ。包丁で切るだけが、料理じゃないさ。味付けも今じゃあ、涼花に任せきりだ。」

「テームさん……」

「落ち込んではダメだよ。」

テームさんに励まされ、私はまた仕事に戻った。


「涼花。」

レーナが隣に来てくれた。

「ごめん。私が二人は結婚するかもよって、言ってしまったから。」

「ううん。いいの。」