「腹減ったし、なんか食べよ……」


俺はキッチンに行き、戸棚に置いてあるカップラーメンを手に取った。



冷蔵庫の中はいつからか空っぽで。

逆に、なんで前は物が入っていたのか、そっちの方が謎だ。


料理するより、お湯を沸かしてカップラーメン作った方が、楽だしうまいし。




………やべ、今日掃除機かけようと思ってたのに。



ポストに突っ込まれていたチラシや、洗濯し忘れた服が散乱した部屋を見ながら、

我ながらこんな生活をしていて、よく父さんや母さんが俺に一人暮らしさせたなと思う。




「この家見たら、びっくりするんだろうなぁ……」



なんて呟いては見たものの、びっくりしている誰かが俺の頭の中に浮かんできているわけじゃない。





ただ、漠然と。



『もう……だから一人にするの心配だったのに……』




そう誰かが、呆れて言っているような気がした。


その声を聞くとなぜか、寂しくなる。



ずっと一人で暮らしていたのに。

隣にはシナくんたちもいたのに。





俺は時々、誰かがいないような気がして、どうしようもなく寂しくなった。