「ちなみに、どうやって付き合うことになったの?」


「えー、いいよ。そんなたいした話しじゃないし」


「何照れてんのよ!だったら私が代わりに言ってあげようか?」


ほんのり赤くなった頬で話を変えようとする山内さんに道下さんがそう言うと、わかったよと2人の出逢いを話してくれた。


「私中学でバレーしてて、彼氏も男子バレー部だったんだ。最初はお互い部活仲間って感じだったんだけど、3年になって2人ともキャプテンになって…まぁ、キャプテンなりにやっぱり試合の事とかチームの事とか悩んでて。で、たまたま帰り道で一緒になった彼氏に相談してて…いつでも話し聞くからって連絡先交換することになって、そこから、まぁ付き合う事になったっていうか…」


「えー!なにそれ青春ー!」


「もう、いいでしょ!どこにでもあるような話しだから!」


「そんな事ないよ!素敵だよ!」


まるで漫画でも読んでるみたい!
そんな事が日常であるんだ!


「なになに〜?なんかやけに興味津々じゃない?もしや茉莉花ちん、好きな人でもいるの〜?」


「ええ!?す、好きな人!?」


道下さんの一言でみんな私をニヤニヤしながら楽しそうに見つめてくる。


「い、いないよ!好きな人!」

「怪しいのぉ〜」

「「怪しいのぉ〜」」

「ほ、ほんとだって!」


みんなの視線に逃れるように体を仰け反る。


「じゃあ楓太は!?」


「へ?楓太?って麻生君のこと?」


「そうそう、あの女装リレーに出てた麻生楓太!最近、茉莉花ちゃんの事可愛いって言ってたんだよね〜」


「ぅえええ!?わ、私を!?」


男の子に免疫が全くないため、信じられなくて顔が熱くなる。


「実は楓太と私幼馴染なんだけど、昔っからヘタレで奥手で馬鹿みたいにお人好しだから女の子に全く男として見てもらえないんだけど、まぁ悪い奴じゃないし茉莉花ちゃんどうかなーって」

道下さんが楽しそうに話し、私は目を泳がせて混乱していた。


「え、や、麻生君きっとモテるし、私なんかよりもっといっぱい良い人いるよ!」


「モテるっていうか、楓太の事はみんな大型犬とでも思ってると思うよ?」


「おい美月、なに人の悪口言ってんだよ」

道下さんが肩を揺らした後ゆっくり振り返ると、そこには話しのネタになっている麻生君が立っていた。