「あなたにお仕えしたいのです」

 そう木綿子に告白した時、彼女は目を丸くしていた。

 これまで桜輔にとって奉仕とはされるものであって、するものではなかった。

 実際、木綿子と出会う前にいた恋人にもどちらかといえば尽くしてもらう方だった。

(それが今はどうだ?)

 桜輔は今では木綿子の身の回りのお世話をすることを至上の喜びとしている。

 彼女が自分を受け入れてくれたのは奇跡みたいなものだった。

 木綿子は桜輔にとって理想的な主人だ。

 桜輔はただ木綿子のために働いていればよいのだ。これほど幸せなことはない。

……これ以上の幸福を望んでは罰が当たる。

 朝食の下準備を終えた桜輔はうっとりとした目つきで木綿子の履いていたパンプスを磨いていく。