日常(仮)

学校に行っても、私は隼人を避け続けた。

「心愛、隼人くんと何かあった?」

あかりにも、心配そうに聞かれる。

「何もないよ。ただ、ちょっと気まずくて…」

眉をㇵの字のに下げて心配してくれてることが伝わってくる。

「言えないこともあると思うけど、困ってる時は頼ってね」

「ありがとう」

無理に踏み込もうとしないでくれて、見放さないでくれてる。
いつも頼ってるよ。
それから、あかりは何事もなかったかのように普段通りに接してくれた。

「そう言えば、心愛の住んでる地域で不審者目撃されてるらしいよ。下校してる小学生ガン見してるらしい。」

「うちの施設の子たち大丈夫かなあ」

結衣からお菓子受け取っちゃうようなところあるし…。

「心愛も気を付けなよ。」

「うん。」

普段ならあまり気に留めないことだけど、なんだろ。
気になった。


放課後になって、ていらと合流した。
あかりから聞いた不審者の話をすると、ていらも気になったことがあるらしい。

「昨日の夜、涼が珍しく話しかけてきて
お母さんが会いに来てくれたら、強くなれたってことなのかなって。
あんまり気にしてなかったけど、こころの話も聞いたら気になるね。」

「帰ったら涼に話聞いてみよっか。」

帰る足を速めた。
施設に着いて涼を探すと、いつもと変わらずみんなとサッカーをして遊んでいた。
夕飯の時も変わらずおかわりするくらい食べてるし、気にしすぎなのかなとさえ思い始めてた。

「涼、」

夕飯の後、部屋に戻ろうとする涼を呼び止めた。

「何?」

「学校楽しい?」

「楽しいけど、…何急に。」

「や、ほら、あの、えーっと。小学生のこと見てる不審者がいるって聞いたから、ついて行ったりしちゃダメだよ。」

ていらが「下手くそ」とつぶやいた。
もっと上手く話しが出来たら良かった。

「…怪しい男なんていないよ。だから、大丈夫。」

「そっか。涼はしっかり者だもんね。でも、気を付けるんだよ。」

両手で涼の頭を撫でた。
「やめろよ」と小さな手で私の手を止める。

「俺の心配する前に隼人くんと仲直りしろよな。」

「まあ、後々…」

小学生に心配される高校生。

「仲直りは、早いほうがいいよ。」

「わかった。頑張るね。」

「あったかくして、早く寝るんだよ」と涼を見送った。

どうして気づけなかったんだろう。
私は心配じゃなくて、心配するふりをしてたんだ。
もう少し踏み込んでいたら、あんなことは起きなかった。