日常(仮)


「こころのチカラは、誰かを傷つけるためにあるんじゃない。正しい道に導くために存在するの。」

傷つけるためにあるんじゃない。
ふと、あの頃のことを思い出した。

「もしかして、あの時の爆発も…そのチカラのせい…?」

化け物と言われ、どこからもだれからも受け入れてもらえなくなったあの事件。

「うん。」

違うと言って欲しかった。
けど、そうだろうと予想していた自分もいた。

「なんだ、全部私が原因じゃん。本当に化け物だったんだ、言われて当たり前か。」

「それは違う。」

「違わないよ!結局あの時も私がみんなを傷つけてる。みんなが正しかったんだよ。…居場所なんてなくて、愛されなくて当たり前だったんだよ。生まれてくるべきじゃなかった。」

「何馬鹿なこと言ってんの?」

今までの力がこもっていた声とは違う、あきれたような声。

「今回のことは、確かに相手を傷つけた。けど、あの事件のことは違う。
こころはみんなを傷つけてないし、私を守ってくれたの。
無理やり檻に入れられて、あのまま連れていかれてたら私はきっと殺されてた。」

言葉が出なくなった代わりに涙があふれてきそう。

「それに、こころは愛されてる。
こころの両親がまだお腹の中にいるこころに向かって、愛おしそうに「こころ」って名前を呼んでるところも、何があってもこころを守るって手を取り合ってるところも、何度も見てきた。羨ましいくらいに、こころは愛されてる。」

いつの間にか涙はあふれていた。

「あの時、私を守ってくれてありがとう。」

知りたくなかった事実を知って、どうしたらいいのかわからなくて不安で、
この広い世界に取り残されてるような気分で、
また、誰にも頼れず隠れて生きていくことになるかもしれない。

違った。

私は、世界に取り残されてもない。
そばで支えてくれるていらもいる。どこかにいる両親に愛されてる。

これから、どうすればいいのか、どうしなきゃいけないのか
全然わからないけど、前を向いていける気がする。

「一緒に向き合ってくれる…?」

もちろん、とほほ笑んでくれた。


私のこれからは想像もつかないような出来事の連続になるだろう。
自分のしてしまったことも償わなければならない。
怖いし、未来がわからなくて不安も大きいけど、
向き合っていきたい。
私とともに戦ってくれる親友と愛してくれている両親がいるから。