日常(仮)


「ていらー。ていらー。」

帰り道、一人ぶつぶつていらの名前を呼んだ。

「どうしたの、こころ。」

いつものように、どこからか現れるていら。
ていらを抱きかかえる。

「…心臓が半分ない気がする。」

「え、どーゆこと。」

「隼人と久しぶりに話せて嬉しかったけど、なんか今切ない。」

「そっか。切ないか。きっと押さえてた気持ちが出てきちゃったんだよ。」

「んー。」

最近、自分の中の感情が負であふれてる気がする。
こんな気持ち誰にも見られたくないし、知られたくないから絶対表には出さないけど、出てきてしまったら取返しがつかないことになるんじゃないかって恐怖もある。

「こころ、あれ施設の子たちじゃない?」

「えー?」

下校途中にある小さな公園。
遊んでるのは、近所の小さい子供たちかうちの施設の小学生くらいの子たちが多い。
公園のほうを見ると確かに、うちの施設の子たちが数人で何かを食べていた。

「何してるの?」

近寄って声をかける。

「心愛ちゃん!」

大きなお菓子の詰め合わせの袋を持っていた。

「そのお菓子どうしたの?もらったの?」

「隼人くんとお仕事してる人がくれたんだよ。」

え?

「どんな人だった?」

「可愛いお姉ちゃん。」

その言葉から私は結衣しか思い浮かばなかった。
ぞっとした。
施設の子たちのまで接触してきて、何をしようとしてるんだろう。

「隼人と一緒に働いてるって言われても知らない人から何かもらっちゃダメだよ。」

みんなに軽く注意をした後に施設に帰った。
施設に戻った後、先生たちにこのことを相談しに行ったら思いましない言葉が返ってきた。

「実は施設に何度か来たことがあるのよ。」

以前に、隼人の忘れ物を届けに来たとかの理由で施設に来たらしい。
共演してる本人がここまで届けにくることに違和感を感じて中には入れなかったらしいが、その後も様々な理由をつけては施設を訪れていたらしい。

そして今日、子供たちにも近づいていたことを知った。

「もう、おかしいですよ。さすがに怖いって。」

今後の対応について施設で話し合われることになった。
施設に対する具体的な問題は生じていないが、このまま続くようであれば警察への相談も視野に入ってくるだろう。

どうして、こんなにも隼人に執着するのだろう。
確かに隼人はかっこいいけど、芸能界なんて他にイケメンたくさんいるだろうし。
知名度的にも、隼人より結衣のほうが上だ。
隼人の性格的に何か恨みをかったとは想像しにくい。
原因がわからないけど、異常だ。
結衣も大勢の前で活躍するのだから、こんなことしていたら自分の立場も危ういだろう。