日常(仮)


「どーゆーこと?」

まるで、本当のことを知ってるような言い方をする。

「あー、ほら香水の匂わせ写真あったじゃん。」

隼人の匂わせ疑惑の1つに香水があった。
雑誌で普段使ってる香水で隼人が答えたものと同じ香水が結衣ちゃんの写真の隅に映ってた。
ギリギリで映ってたから故意的だとか言われてる。

「あの香水、もとは俺のだし。」

「え!?」

「俺んちに会った香水を隼人が気に入ったっていうから、携帯用の香水入れるやつにいれてあげたんだよ。結局、気に入って使ってたんだけど、瓶ごと持って行かないで、いつも俺んちで携帯用のに補充してたから、隼人あの香水丸ごと持ってないの。」

まさかの、友達のカミングアウト。
隼人があの香水自体を持ってない事実によって、完全に匂わせの噂を消すことは出来ないだろうけどきっかけくらいにはなるんじゃないだろうか。

「わざわざ、おそろいで買ったのかもよ。」

その可能性も十分考えられてしまうのは、当たり前だろう。

「まあ、そー考える人もいるだろうね。」

頭を人差し指で掻く。

「この話だけで完全に隼人の噂をなくすことは出来ないけどさ、普段の隼人知ってるから、俺らは信じない。
はい、解散、解散。ただの噂でごちゃごちゃすんなって。」

散れ、散れと言いながら手首を横に振って歩く。

「おい、いつまで便所行ってんだよ。」

教室から短髪の男子生徒が出てきて、香水話をしてくれた男子生徒に話しかける。

「隼人の話でもめてたから。首突っ込んでた。」

「はあ?なんで、関係ないヤツが隼人の話でもめんだよ。
隼人は匂わせるほど器用な奴じゃないし。あんなにわかりやすいヤツ他にいないだろ。なあ?」

近くにいた他の生徒にそう投げかける。

「え?んー。まあ…そんな感じするかも。」

「だろ!」

嬉しそうな表情をしている。
隼人が普段仲良くしている友達のことは知ってたけど、みんな隼人の味方をしてくれてることがわかる。
隼人のことを信じてくれてることがわかる。

嬉しかった。すごく。

「え!!!お前やっときたのかよ!!」

「こっそり来ようと思ったのに、注目の的なんですけど。」

聞き覚えのある声。大好きな声。

一瞬身体と思考が止まる。
そして、ゆっくり振り返る。

「隼人…」

廊下にいた生徒がざわつく。教室にいた生徒まで騒ぎに気づいて出てくる。
けど、隼人は何もないように前に進んできて「久しぶり~」て笑ってる。
隼人の友達は、さっきまで私たちの道をふさいでいた女子生徒を押し退けて前に出てきた。

隼人は嬉しそうに話してるし、お友達もすごく嬉しそうで、私まで嬉しくなった。

「ねえ、結局どうなの?あの噂って本当なの?」

空気が一瞬ピッたっと止まって、静かになる。
短髪の男子生徒が「おい」って言いかけたのを隼人が止めて話す。

「どの噂のことかわからないけど、俺は誰とも付き合ってない。今の活動を頑張りたいって思ってる。…応援よろしく。」

「応援すんに決まってんじゃん」「相変わらずかっけえなあ!」静まり返った空気は隼人の友達の声と生徒たちの話声でまた騒がしくなった。

隼人が来て騒ぎになってることに気づいた先生たちが生徒を教室に入るように促し、この騒がしい事態を終えた。
ていらはまた窓から出て行こうとするから、お願いだから安全なところから帰ってと頼んだ。