あの日から数日。
私たちの日常が大きく変わろうとしていた。
「隼人!行くよ。」
今日は隼人の仕事がお休みの日。
だから、一緒に学校に行く。それが私たちの日常。
「ごめん、急に仕事入ったらしいから俺今日行かない。」
「え?そうなの?…わかった。頑張ってね。」
急に仕事が入ることは、今までのも何回かあったけど
なんて言うんだろ。いつもと空気が違った。
空気というか、隼人の様子がいつもとは違うような気がした。
学校に着くと、周りからヒソヒソ何かを言われているような感じがした。
普段、隼人といる時に向けられる好意的なものではない。
小さい頃に経験している感覚。決して気分のいいものではない。
「心愛、」
「おはよう、どうしたの?」
周りの様子がおかしいのと同じように、あかりの様子もおかしかった。
いつも満面の笑みで誰よりも明るい、そんなあかりの様子とはかけ離れたものだった。
「あのさ、ただの噂でしかないと思「ねえ、隼人君て結衣ちゃんと付き合ってるの?」
「…え?」
あかりの話を遮って入ってきた女子生徒たち。
「てっきり、佐藤さんと付き合ってるんだと思ってたのに。」
「ねー。てか、2人と匂わせってなかなかやばくない。」
自分の知らない話で盛り上がられて、ついていけない。
ん?匂わせ?隼人が??
「心愛の前で勝手なこと言わないで!」
あかりが眉間にしわをよせて声を張り上げた。
その場にいた人達の視線が集まる。
「こわ。けど、みんな気になってることじゃん。」
「行こう。」そう言って、あかりは私の手を握った。
朝礼をさぼって、図書館の隅のほうで話を聞いた。
「私は、ただの噂でしかないと思ってる。けど、
今ねSNSで、隼人君と結衣ちゃんが匂わせてるって炎上してるみたいなの。」
この噂話の始まりは、隼人の雑誌のインタビュー記事と結衣ちゃんの写真の投稿から始まったらしい。
隼人が雑誌で答えたお気に入りの私物と同じものを結衣ちゃんが写真投稿したり、隼人が普段使っていると答えた香水が結衣ちゃんの写真の片隅に映っていたり、本当に些細なことでしかなかったが、これらの出来事がいくつも重なって炎上するきっかけとなった。
SNSには、隼人への一方的な誹謗中傷であふれていた。
「匂わせとか幻滅した。」
「調子のってる」
「付き合ってたからドラマよばれてんじゃね」
「違う女とも歩いてたよね?二股サイテー」
「顔だけで仕事もらえてうらやましい」
何も知らないよね。この人たち。
隼人のこと何も知らないのに、どうしてこんなこと書けるの?
「心愛は普段SNS見る機会が少ないから、…私が言わなければ心愛は傷つかないと思ったし…」
「……」
「隼人君が、もっと騒ぎが大きくなって心愛の耳に入るまではなさないで欲しいって。」
「…なんで、」
なんで話してくれなかったの。なんで相談してくれなかったの。
いつから一人で抱えてるの。
「叩いてくる人達って、SNSだけでしか威張れない人が多いでしょ。
顔が見えてないと、まるで自分が正しいかのように言葉の暴力をぶつけてくる。日頃のイライラをただぶつけてくる人もいる。
けど、実際に目の前に立つと目すら合わせられない人もいるんだよ。
SNSの世界を知らない間は心愛が傷つかないと思ったんじゃないかなあ。下手くそだけど、心愛に嫌な思いしてほしくなかったんじゃない?」
苦しい。苦しい。悔しい。
この炎上が始まってからも、私は何回も隼人に会ってた。
隼人が苦しんでたのに、すぐに気づけなかった。
なのに、隼人は私のこと考えてくれてた。
まるで、心臓を握りしめられているような感覚だった。
「ごめんね。すぐに教えるべきだったよね。」
申し訳なさそうに下を向いている。
「謝らないで。あかりは悪くないよ。それよりも、ありがとう。」
顔をあげた、あかりの目を見る。
「今起きてることを教えてくれたことも、さっき怒ってくれたことも。
あかりと友達で、私は幸せ者だよ。」
あかりの目からポロポロ涙がこぼれる。
苦しかったよね。ごめんね、背負わせてしまって。
あかりは、泣いた後の目を冷やすためのハンカチを濡らしに廊下に行った。
本当は一緒に行くべきなんだろうけど、ごめんね。
図書館のベランダに出て話す。
「ていら、いるよね。」
静かに姿を現す。
「ここにいるよ。」
「お願い。本当のことが知りたいの。協力してくれない?」
ていらだったら、怪しまれないで結衣ちゃんに近づくことができる。
今回の炎上事件の真実が知りたい。
「嘘だと思うけどなあ。心配しなくても隼人は結衣って子に恋愛感情ないと思うよ。それに隼人のことは本人に直接聞いた方がいいんじゃない?」
「隼人とも話そうと思ってるよ。結衣ちゃんの意図も知りたいの。
それに、隼人が結衣ちゃんと何かあってもなくても、
隼人は隼人だし、大好きよ。」
「しょーがないな!私もこころ大好きだから協力してあげる。」
そう言うと、ていらはどこかに行ってしまった。
「ありがとう!」
ていらの後ろ姿を目で追い続けた。
「どうしたの、心愛?」
振り返ると、あかりが戻ってきていた。
「外の空気をすってリフレッシュしてた。目大丈夫そう?」
「うん!さっきより、ましだと思われる。」
大きく息を吸って吐く。
「戻ろっか。」
何が起きたのか、起こってるのかちゃんと知りたい。
隼人は私を巻き込みたくないかもしれないけど、巻き込まれに行ってやる。
てか、「違う女とも歩いてたよね?二股サイテー」って多分私のことだし。
守られてるだけなんて、イヤ。
私たちの日常が大きく変わろうとしていた。
「隼人!行くよ。」
今日は隼人の仕事がお休みの日。
だから、一緒に学校に行く。それが私たちの日常。
「ごめん、急に仕事入ったらしいから俺今日行かない。」
「え?そうなの?…わかった。頑張ってね。」
急に仕事が入ることは、今までのも何回かあったけど
なんて言うんだろ。いつもと空気が違った。
空気というか、隼人の様子がいつもとは違うような気がした。
学校に着くと、周りからヒソヒソ何かを言われているような感じがした。
普段、隼人といる時に向けられる好意的なものではない。
小さい頃に経験している感覚。決して気分のいいものではない。
「心愛、」
「おはよう、どうしたの?」
周りの様子がおかしいのと同じように、あかりの様子もおかしかった。
いつも満面の笑みで誰よりも明るい、そんなあかりの様子とはかけ離れたものだった。
「あのさ、ただの噂でしかないと思「ねえ、隼人君て結衣ちゃんと付き合ってるの?」
「…え?」
あかりの話を遮って入ってきた女子生徒たち。
「てっきり、佐藤さんと付き合ってるんだと思ってたのに。」
「ねー。てか、2人と匂わせってなかなかやばくない。」
自分の知らない話で盛り上がられて、ついていけない。
ん?匂わせ?隼人が??
「心愛の前で勝手なこと言わないで!」
あかりが眉間にしわをよせて声を張り上げた。
その場にいた人達の視線が集まる。
「こわ。けど、みんな気になってることじゃん。」
「行こう。」そう言って、あかりは私の手を握った。
朝礼をさぼって、図書館の隅のほうで話を聞いた。
「私は、ただの噂でしかないと思ってる。けど、
今ねSNSで、隼人君と結衣ちゃんが匂わせてるって炎上してるみたいなの。」
この噂話の始まりは、隼人の雑誌のインタビュー記事と結衣ちゃんの写真の投稿から始まったらしい。
隼人が雑誌で答えたお気に入りの私物と同じものを結衣ちゃんが写真投稿したり、隼人が普段使っていると答えた香水が結衣ちゃんの写真の片隅に映っていたり、本当に些細なことでしかなかったが、これらの出来事がいくつも重なって炎上するきっかけとなった。
SNSには、隼人への一方的な誹謗中傷であふれていた。
「匂わせとか幻滅した。」
「調子のってる」
「付き合ってたからドラマよばれてんじゃね」
「違う女とも歩いてたよね?二股サイテー」
「顔だけで仕事もらえてうらやましい」
何も知らないよね。この人たち。
隼人のこと何も知らないのに、どうしてこんなこと書けるの?
「心愛は普段SNS見る機会が少ないから、…私が言わなければ心愛は傷つかないと思ったし…」
「……」
「隼人君が、もっと騒ぎが大きくなって心愛の耳に入るまではなさないで欲しいって。」
「…なんで、」
なんで話してくれなかったの。なんで相談してくれなかったの。
いつから一人で抱えてるの。
「叩いてくる人達って、SNSだけでしか威張れない人が多いでしょ。
顔が見えてないと、まるで自分が正しいかのように言葉の暴力をぶつけてくる。日頃のイライラをただぶつけてくる人もいる。
けど、実際に目の前に立つと目すら合わせられない人もいるんだよ。
SNSの世界を知らない間は心愛が傷つかないと思ったんじゃないかなあ。下手くそだけど、心愛に嫌な思いしてほしくなかったんじゃない?」
苦しい。苦しい。悔しい。
この炎上が始まってからも、私は何回も隼人に会ってた。
隼人が苦しんでたのに、すぐに気づけなかった。
なのに、隼人は私のこと考えてくれてた。
まるで、心臓を握りしめられているような感覚だった。
「ごめんね。すぐに教えるべきだったよね。」
申し訳なさそうに下を向いている。
「謝らないで。あかりは悪くないよ。それよりも、ありがとう。」
顔をあげた、あかりの目を見る。
「今起きてることを教えてくれたことも、さっき怒ってくれたことも。
あかりと友達で、私は幸せ者だよ。」
あかりの目からポロポロ涙がこぼれる。
苦しかったよね。ごめんね、背負わせてしまって。
あかりは、泣いた後の目を冷やすためのハンカチを濡らしに廊下に行った。
本当は一緒に行くべきなんだろうけど、ごめんね。
図書館のベランダに出て話す。
「ていら、いるよね。」
静かに姿を現す。
「ここにいるよ。」
「お願い。本当のことが知りたいの。協力してくれない?」
ていらだったら、怪しまれないで結衣ちゃんに近づくことができる。
今回の炎上事件の真実が知りたい。
「嘘だと思うけどなあ。心配しなくても隼人は結衣って子に恋愛感情ないと思うよ。それに隼人のことは本人に直接聞いた方がいいんじゃない?」
「隼人とも話そうと思ってるよ。結衣ちゃんの意図も知りたいの。
それに、隼人が結衣ちゃんと何かあってもなくても、
隼人は隼人だし、大好きよ。」
「しょーがないな!私もこころ大好きだから協力してあげる。」
そう言うと、ていらはどこかに行ってしまった。
「ありがとう!」
ていらの後ろ姿を目で追い続けた。
「どうしたの、心愛?」
振り返ると、あかりが戻ってきていた。
「外の空気をすってリフレッシュしてた。目大丈夫そう?」
「うん!さっきより、ましだと思われる。」
大きく息を吸って吐く。
「戻ろっか。」
何が起きたのか、起こってるのかちゃんと知りたい。
隼人は私を巻き込みたくないかもしれないけど、巻き込まれに行ってやる。
てか、「違う女とも歩いてたよね?二股サイテー」って多分私のことだし。
守られてるだけなんて、イヤ。
