日常(仮)

あかりとていらを連れて隼が指定した場所に向かった。

隼人の姿が見える。

「隼人」

名前を呼ぶとにっと笑って手を振ってくれた。

「見に来てくれんなら言えよな。驚いた。」

「ごめんね、本当はちょっとだけ見て帰るつもりだったんだけど見つかちゃった」

「私が無理に心愛連れてきちゃったの!ごめんね!!」

あかりが顔の前で手を合わせて言う。

「違う違う、謝んないでよ。俺嬉しかったよ、見に来てくれて」

そう言う隼人の言葉を聞いてほっとした。

「なら、よかった。」



「心愛とね、隼人くんかっこいいねって話してたんだよ、ねっ?」

あかりが満面の笑みで私に問いかける。

「まじ?さらに嬉しい。ありがとう」

「いつもの隼人じゃないみたいだった。」

隼人とあかりに負けないくらいの笑みで、こう言うことが今の私の精一杯。
本当は誰よりもかっこいいと思ってるんだから、素直に言えたらいいのにとやっぱり自分でも思う。

「やっと、俺のかっこよさに気づいた?」

「ばか、」

「これは照れ隠しのばかだねえ」

ていらがさらっと言う。
そして大爆笑の隼人。

「相変わらず仲良しだね」

あかりに言われて、さらに恥ずかしくなる。

「隼人くん」

隼人の名前を呼んだのは結衣ちゃんだった。
透き通るような綺麗な肌、すらっとした足、綺麗な髪。
とても綺麗な人だと思った。

「お話し中にごめんなさい。
次のシーンのことで相談があるんだけど、いいかな?」

「すいません、今行きます。
ごめん、もう行くわ。気を付けて帰れよ。見に来てくれてありがとう。」

隼人は私の頭にポンっと手をのせて、あかりにも改めてありがとうと言った。

「頑張ってね。」

変わらないいつもの笑顔で「おう」と言って、結衣ちゃんの方に向かっていった。

私たちは隼人の姿を見送ってそのまま帰宅した。

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「隼人くん、今の子もしかして彼女?」

結衣が下から顔を覗き込むように隼人に尋ねる。

「いや、違いますよ。」

「ふーん。ただのお友達には見えなかったけどなあ」

「友達っていうより、家族に近いですからね。」

「あ、もしかして同じ施設の子?じゃあ、隼人くんにとって妹みたいな感じか」

「んー、妹にはしたくないですけどね」

「それ、「あ、隼人くん監督呼んでるよ!!」

結衣の声は他のスタッフの声に消されてしまった。

「わかりました、今行きます!
結衣さん、監督の話先に聞いてきます。戻ってきたら話聞かせてください」

結衣の隣に隼人はもういない。

「妹にはしたくない、か。、、、気に食わないなあ、」

隼人の背中に向かって、つぶやいた。