日常(仮)

芸能界って大変なのかなあ。


「こんなとこにいたの、こころ」

「え!?」

突然、聞こえてきたていらの声。

「どうしたの?…見て、綺麗な白猫いるよ!」

足元には綺麗な白猫、ていらがいた。

「可愛い~」と言いながら、あかりがていらを撫でている。
「にゃー」って普通の猫みたいな鳴き方するていら。

「にゃーって…」

「面白そうなところ行くなら私も連れて行ってよね。」

友達と出かけるのに猫つれて歩く高校生がどこにいるのよ。
頭を抱えるってこういうこと言うんだろうなあ。
まるでただの猫みたいにしているていらを見て思う。

「見てみて、結衣ちゃんと隼人くん一緒にいるよ。もう、美男美女じゃん」
「仲よさそうだよね、あの二人」

周りから聞こえてきた声。
誰かのファンかな。楽しそうにしている女の子二人組。
ていらを見ていた顔を上げて、隼人がいた方を見ると確かにそこには美男美女の二人が楽しそうに会話をしていた。
隼人の隣には結衣ちゃんみたいな可愛い子が似合うんだろうなあ。

「でも、隼人くんに一番似合うのは心愛だと思うけど。」

あかりが真顔で私に言う。
さっきまでていらを撫でていたあかりの表情とは違う。

「だって、心愛と一緒にいる方が隼人くんらしい感じするもん。」

「あかり、見る目あるねえ。ね、こころ!!!」

きっと、ていらの声がみんなにも聞こえていたら注目の的になっただろう。
そのくらい大きな声で、ていらは私の名前をよんだ。

「え、ちょっと、」

「本当のことだよ?」

あかりは私のことを肯定し続けてくれる。
わあ、もう、あかり大好き。私が男だったら、やっぱりあかりと付き合う。
なんて思いながら慌てる。
今の声、隼人に聞こえたんじゃないか。
見つかる前にどこかに隠れないと…。


周りを確認しようと顔をあげた時

「あ、」

隼人とばっちり目があった。
少し驚いたような表情を見せたが、すぐにどこかに行ってしまった。

「隼人に見つかっちゃたかも、」

「本当?」

もー、ていらぁー。ていらのせいだからね。
恨めしそうにていらを見るけど、ていらはなにも気にせずに身体を伸ばしている。
隼人、勝手に来たこと怒るかな。


そんな時、あかりのスマホがなった。

「心愛!!」

「ん?」

見せてくれた画面をのぞき込むと、

『ここあと見に来てくれてる?』

隼人からメッセージが来ていた。
私はスマホを持っていない。隼人は仕事の連絡用にも必要で自分のスマホを買った。
普段、あかりと一緒にいるからあかりが間に入って連絡をとってくれている。

あかりがスマホを貸してくれて返信する。

「隼人、次の撮影まで時間あるから少しだけ会えるって。」

行ってもいいのかな。隼人の邪魔にならないかな。
、、、でも、会いたい。