「涼、ちゃんと食べないと力でないよ」
「焼いてない野菜嫌い。」
焼いてない野菜って…。サラダだからね、それ。
涼が施設に来てから、数日経った。
施設での生活にも慣れてきたみたいで、今は普通にみんなに馴染めている。
事情のある子たちが通う学校にも通い始めた。
「ほらほら、遅刻するよ」
「わ、またギリギリだ。隼人!!」
最近、朝ギリギリなこと多い気がする。
ちゃんとしよ。
眠そうに歩く隼人の背中を押す。
「あ、俺も行く!!」
涼が立ち上がろうとすると、「涼君はまだ時間あるから、ちゃんとサラダ食べてから行こうね。」と言う先生の圧に負けてしぶしぶ座りなおしていた。
「ねえ、隼人。今日も撮影あるの?」
「ある。最近忙しいんだよな。」
口をとがらせながら言う隼人。
隼人は今ドラマの撮影をしている。
主演ではないけれど、主人公と関係深い役だから隼人の出番も多い作品だ。
「良いことじゃん。頑張ってね。」
「おう。」
にっと笑った顔を見せてくれる。
忙しい時期は隼人と一緒にいれる時間は少ない。
こうやって、朝一緒に登校出来てるだけいい方だ。
高校も本当は隼人は芸能科がある高校に入る話もあったくらいだから。
隼人はかっこいい。ドラマに出てる誰よりもかっこいいと思う。
いつか、もっと多くの人が隼人の良さに気づくんだろうなあ。
「心愛、?」
じーっと隼人の顔を見つめたままぼーっとしていた。
「隼人の良さは私が一番知ってるよ。」
「…あーーー、もうっ!」
「え、わっ。ちょっと」
隼人が私の頭を前に押した。
「それで充分。」
そう言って隼人は前を歩いて行った。
耳が赤くなっているのが、後ろから見てわかる。
もしかして、照れてる…?
「待ってよ」
隼人の後ろを追いかける。
きっと、私は今誰にも負けないくらいの満面の笑みを浮かべているだろう。
隼人、大好きだよ。
