日常(仮)

扉の外はもう暗くなっていた。
はやとが教会で私を見つけてからも、だいぶ時間が経っていた。

「お話は終わったのかしら?」

扉の横に先生が立っていた。
とっさに、はやとの後ろに隠れてしまった。

私たちを見つけてからみんなを教室に戻して、話が終わるのを待っていてくれたらしい。

「心愛ちゃん、黙っていなくなったりしたら駄目よ。みんな心配したわ。」

「…ごめんなさい。」

最初は怖い顔をしてた先生も、私が謝ると微笑みながら「みんなのところに戻りましょう」と言った。

教室に行くと、みんなの視線が一気に集まってきた。

「心愛ちゃん、見つかったんだね」
「どこにいたの?」
「よかったじゃん」
「はやとと手繋いでる」

教室にいる子たちがそれぞれ言葉を発していく。
言いたいことがあるのに、口が重い。

「猫女、どこ行ってたんだよ?」

男の子が私に向かって言う。
逃げ出したくなった。

「心愛だよ。」

はやとのほうを見る。

「え?」

男の子はきょとんとしている。

「だから、心愛。猫女じゃなくて、心愛だよ。な?」

はやとが私を見る。
まるで、大丈夫だよ、そばにいるよ、と言われてるような気持ちになった。

「うん。私、猫女って名前じゃない。心愛、佐藤心愛。そして、この子はていら。」

「そうそう、こころが猫女だったら私はただの猫じゃない。」

はやとがていらの言葉を聞いて笑いをこらえている。

「みんな心配かけてごめんなさい。探してくれてありがとう。嬉しかった。」

深く頭を下げた。

「どういたしまして。」
「心愛ちゃんが見つかってよかったよ。」
「めっちゃ探したよ、心愛ちゃんかくれんぼの天才かも」

あったかい気持ちで胸がいっぱいになった。
ここは、今までの場所と違う。そう思えた。

それから、一緒に遊ぼうと女の子たちが声をかけにきてくれた。
はやとは私の背中を押してくれて、自分も男の子たちの集団にはいっていった。

初めてここに来て、みんなと話したときよりも居心地がよく感じた。
ていらがそばにいないと、そわそわしちゃうけど
それでも一歩進めたと思う。
はやとはあっという間にみんなの中心にいて、変わらず笑ってた。