初めてアンタの泣き顔を見たとき、
幸せにしてやりたいって思ったのーー



「ああああ!佐治いいー!!!」

「……。」



感情に浸ってるアタシを、
無理やり現実に引き戻した雄叫び。


アタシは持っていたカップを、
そっと机に置いた。



「…ちょっと、朝からうるさいわよ棗」



洗面所でドタバタしている黒髪の少女ー
棗をため息まじりで叱る。


少しだけつりあがった大きな瞳が、
ぐりんと私を捕らえた。




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