嫌いなあいつの婚約者!?

 奏多さんが手を振りながらこっちに向かって歩いてくる。

「やあ」

「奏多さん」

「ちょっといいかな?」

 杏里を見ると、にっこりと微笑んで顔を縦に振る。

「誕生日パーティーのことなんだけど……ダンス、一緒に踊ってくれないかな?」

 それは、私の欲しい言葉だった。

 まさか、本当に奏多さんに誘ってもらえるとは思っていなくて、心臓が急に早く動く。

「も、もちろんです」

「よかった」

 奏多さんは、安心したように微笑んだ。私の言葉でそんな表情をしてくれることが、この上なく嬉しくて顔が熱くなってくる。

「あ、あの、奏多さんも、ランチ一緒にどうですか?」

「ごめんね、今日は友人と食べる約束をしているからまた今度。パーティー、楽しみにしているよ」

「はいっ」

 奏多さんはすぐに去っていく。でも、少しだけでも会話を出来たことがすごく嬉しくて、口元が勝手に緩んでしまう。力を入れようとしても、にやにやが止まらない。

「よかったわね」

「うんっ」