歩いていると、前からなにやら知っている顔が2つ見えてくる。
そのうちの1人が私たちに気付いた。
「桜」
「涼……と鈴華さん」
「あら、デートかしら?」
「そうだけど……」
「そう、私たちもなの」
耳元で、彼女は囁く。
まるでそれは悪魔の声に聞こえて、その恐怖に自然と後ずさりをしてしまう。
私のことが好きだと言いながら、結局は他の人と出かけるなんて……。
ま、まあ私には関係ないし、お互い違う道を歩んだ方がいいに決まっている。
「2人はこれからどこに?」
なんて涼は聞いてくるけれど、そんなの涼にはどうでもいいことで、もちろん答える気なんてない。
「オルゴール美術館だよ」
でも、奏多さんが代わりに答えてしまう。
「そうなの? オルゴール、いいわね。私も行こうかしら」
「な、なんで?」
「あら、別にいいじゃない。オルゴール欲しいって思ってたのよ。ショップもあるし」
「それじゃあ……4人で行く?」
奏多さんの優しさなのか、そう提案してきた。私は絶対に4人なんて嫌だし、せっかくのデートなのだから最後まで2人で楽しみたい。
だから、断って。
「いえ……せっかくのデートなのに邪魔できないです。ほら、行こう」
私の望みが届いたのか、涼は私に背を向けた。
それを望んでいたのは自分なのに、その背中が全力で私を拒否しているように感じて、私は背中から目を逸らした。
「え、ええ」
涼は鈴華さんの手を握る。そして、まるで王子さまがお姫様を連れ去っていくように2人でどこかへ行ってしまう。
そう、当たり前。当たり前だよ。
だけど……。
つい私は、自分の手を見てしまう。涼に握られたいなんて思ってない。思ってないの。
「それじゃあ、行こうか」
「あ、はい」
そのうちの1人が私たちに気付いた。
「桜」
「涼……と鈴華さん」
「あら、デートかしら?」
「そうだけど……」
「そう、私たちもなの」
耳元で、彼女は囁く。
まるでそれは悪魔の声に聞こえて、その恐怖に自然と後ずさりをしてしまう。
私のことが好きだと言いながら、結局は他の人と出かけるなんて……。
ま、まあ私には関係ないし、お互い違う道を歩んだ方がいいに決まっている。
「2人はこれからどこに?」
なんて涼は聞いてくるけれど、そんなの涼にはどうでもいいことで、もちろん答える気なんてない。
「オルゴール美術館だよ」
でも、奏多さんが代わりに答えてしまう。
「そうなの? オルゴール、いいわね。私も行こうかしら」
「な、なんで?」
「あら、別にいいじゃない。オルゴール欲しいって思ってたのよ。ショップもあるし」
「それじゃあ……4人で行く?」
奏多さんの優しさなのか、そう提案してきた。私は絶対に4人なんて嫌だし、せっかくのデートなのだから最後まで2人で楽しみたい。
だから、断って。
「いえ……せっかくのデートなのに邪魔できないです。ほら、行こう」
私の望みが届いたのか、涼は私に背を向けた。
それを望んでいたのは自分なのに、その背中が全力で私を拒否しているように感じて、私は背中から目を逸らした。
「え、ええ」
涼は鈴華さんの手を握る。そして、まるで王子さまがお姫様を連れ去っていくように2人でどこかへ行ってしまう。
そう、当たり前。当たり前だよ。
だけど……。
つい私は、自分の手を見てしまう。涼に握られたいなんて思ってない。思ってないの。
「それじゃあ、行こうか」
「あ、はい」



