嫌いなあいつの婚約者!?

「お昼を食べたら、街の中にあるオルゴール美術館に行こうと思うんだ」

「いいですね」

 この前涼と散歩したときにはそんなところがあるだなんて教えてくれなかった。

 奏多さんとオルゴール、なんて合うのだろう。

「桜さんは、どんな音楽が好き?」

「ええと……そうですね」

 なんて答えるのが正解なのだろう。

 ここはかっこよく『クラシック音楽』と言いたいところだけどほとんど聞いたことがないし。

「癒される感じの音楽が好きですね」

「いいね、僕も賑やかなものより落ち着いたものが好きだよ」

 






 紅茶をゆっくりと味わい、ランチの時間が訪れる。

「桜さんは、魚と肉どっちがいい?」

「えっと、お魚で」

「うん、分かった」

 そういえば、さっきからレストランには私たちしかいないけれど……。

「あ、ここね。今日は貸切にしたんだ」

「そうだったんですね」

 流石、というか、きっとあの学校に通うほとんどの生徒に共通することなんだろうけれど、いちいち感心してしまう。

 以前の私にはお店を貸し切るなんてことは遠くの遠くの世界の話で、それがこんなにも身近になるなんて。

「こっちの方が、落ち着ける」

「そうですね」

 少し寂しいなと思うけれど、とことん静寂というのも悪くない。