嫌いなあいつの婚約者!?

 目の前に座る奏多さんは、口角を上げてこの場を楽しんでいるように見える。よかった、私との時間をつまらないとは思っていないようで。

 それより、奏多さんの顔を見たいのに、あまりにも私には輝いて見えて直視できない。

 輝きの強いものって、ある程度離れた場所で見るとすごく美しく見えるけど、いざ近寄って見ると眩しくて目を細めてしまう。

 ああ、恥ずかしい。

 今更、奏多さんに自分の顔を見られるのが恥ずかしくなって、森の方に顔を向けてしまう。

 今まで、そんなにまじまじと奏多さんの顔を見ることなんてなかったから、散歩の時だって横に並んでいたし……。

 改めてじっくりと見ると、本当にこちらが緊張するほどの整った顔をしていて、恥ずかしくなる。

「どうしたの?」

「あ、いえ、く、空気がきれいだなあと」

「うん、そうだね。自然の中はやっぱり空気が澄んでる」

「あ、そこに。リスみたいなのが」

「本当だ。可愛いね」

「はい……」

 奏多さんは、目を閉じて深呼吸をしている。そんな姿にさえ、目を奪われる。

 それに、不思議と奏多さんの前ではおしとやかというか、そこまではいかないけれど女の子らしい振る舞いになる。

 涼の前ではいつも通りがさつになってしまうのに。