嫌いなあいつの婚約者!?

 とんとん、と扉を叩く音が聞こえてようやくメイドが戻ってきた。

「桜さま。明日の10時に奏多さまが迎えに来るそうです」

「ねえ、そのことで、明日の服装を一緒に考えて欲しいんだけど、衣裳部屋に連れて行ってくれない?」

「はい、いいですよ。とびっきりお洒落しましょうね」

「ええ、もちろん」

 いつもはブルー系のものが多いし、学校の制服もモノトーンだから、思い切って明日はピンク系の花柄のワンピースなんて着て行こうかしら。

 それとも、水色の爽やかな夏に会うワンピース?

 ううん、それとも、薄紫の上品なラベンダーを思わせるワンピースの方がいいかしら。

 って、まだどんなワンピースがあるかも分からないのにあれこれと考えてしまって、見てからにしないと。

「では、いきましょうか」

 部屋を出て、長い廊下を歩いて右左に曲がったり階段を昇ったりして、まるで迷路じゃない、と心の中で突っ込みながらようやく衣裳部屋に辿り着いた。