朝、起きて朝食を求めに来るといつも通りに涼がいた。そういえば、ずっと思っていたのだけれど、朝に涼がここに来る意味って何なのかしら?
そんな疑問を浮かべつつ、どちらの涼か分からない涼にいつものように挨拶をしてみた。
「おはよう」
「…………」
涼は何も言わずに私の顔を見た。この感じ…………冷たさを含む目。この冷酷さを帯びている目をしているのは、こっちの世界の涼じゃない。
「まさか、涼?」
「もしかしてお前、桜か?」
「はあ……。やっぱり、涼なのね」
考えれば、こっちの世界の桜は今あっちの世界にいて、同様にこっちの世界の涼はあっちの世界にいる。
涼が好きなのはこっちの世界の桜で、その桜と出会ったならこっちに戻る選択をする確率は低くなる。
もしかしたら、私を追って元の世界に戻ってきたかも、なんて期待をしていた分、ずどんと心が落ち込んでしまう。
「でも、ちょうどよかった。今日の放課後、あなたのお父さんに会って婚約解消を申し出たいの。いいかしら?」
「いいけど…………ってか、俺戻りたいんだが」
そりゃそうよね。こっちの世界にこの涼がいる意味なんて1ミリもないもの。
「願えば戻れるんじゃないかしら? 私はもう戻らないけど」
「は? 戻らないってお前……」
「こっちの世界の桜とそう決めたのよ。だからあなたも、願えばもしかしたら同じように話し合えるかもね」
「願えばねえ……。つかお前、相変わらずツンツンしてんのな」
「あんたが嫌いだから。てか、それはあんたのせいでしょ。昔から意地悪ばっかりしてきたくせに」
「はっ、まあ…………。否定はしないけど」
同じ顔なのにこうも違うのかと、涼の顔を見て改めて思う。
あんなに優しくて穏やかでまるでほっと心を落ち着かせてくれるハーブティーのような涼は、ここにはいない。
って、今はそんな存在でもない。むしろ私の心を乱す存在なのだから、どっちの涼も私の前にいないのがいい。
そんな疑問を浮かべつつ、どちらの涼か分からない涼にいつものように挨拶をしてみた。
「おはよう」
「…………」
涼は何も言わずに私の顔を見た。この感じ…………冷たさを含む目。この冷酷さを帯びている目をしているのは、こっちの世界の涼じゃない。
「まさか、涼?」
「もしかしてお前、桜か?」
「はあ……。やっぱり、涼なのね」
考えれば、こっちの世界の桜は今あっちの世界にいて、同様にこっちの世界の涼はあっちの世界にいる。
涼が好きなのはこっちの世界の桜で、その桜と出会ったならこっちに戻る選択をする確率は低くなる。
もしかしたら、私を追って元の世界に戻ってきたかも、なんて期待をしていた分、ずどんと心が落ち込んでしまう。
「でも、ちょうどよかった。今日の放課後、あなたのお父さんに会って婚約解消を申し出たいの。いいかしら?」
「いいけど…………ってか、俺戻りたいんだが」
そりゃそうよね。こっちの世界にこの涼がいる意味なんて1ミリもないもの。
「願えば戻れるんじゃないかしら? 私はもう戻らないけど」
「は? 戻らないってお前……」
「こっちの世界の桜とそう決めたのよ。だからあなたも、願えばもしかしたら同じように話し合えるかもね」
「願えばねえ……。つかお前、相変わらずツンツンしてんのな」
「あんたが嫌いだから。てか、それはあんたのせいでしょ。昔から意地悪ばっかりしてきたくせに」
「はっ、まあ…………。否定はしないけど」
同じ顔なのにこうも違うのかと、涼の顔を見て改めて思う。
あんなに優しくて穏やかでまるでほっと心を落ち着かせてくれるハーブティーのような涼は、ここにはいない。
って、今はそんな存在でもない。むしろ私の心を乱す存在なのだから、どっちの涼も私の前にいないのがいい。



