嫌いなあいつの婚約者!?

「桜さま。ここ最近なんだか…………人がころころと変わっているような気がするんですが、大丈夫ですか?」

「ええ、もう大丈夫よ」

「そうですか」

「ええ」

 明日、学校にいったら絶対に奏多さんに会いに行く。

 でもその前に涼に会って婚約解消の話を先にした方がいいかしら。どっちの涼かは分からないけれど、どっちであろうが変わらない。

 涼とはすっぱりと関係を断って、何もない真っ白な気持ちで奏多さんに思いを伝える。

 もちろん、明日とか明後日とかの話しではないけれど、いつか、奏多さんが他の人に取られてしまう前に思いを伝えるの。

 そしたら、どんな顔をするのかな。

 驚いた顔? それともとびっきりの笑顔?

「驚いた……顔」

 コンビニに行った時、電車に乗った時、駅から群衆を見た時、その時の涼の顔が思い浮かんでくる。

 思い出したいなんて思っていないのに、自然と頭の中に涼の顔が浮かぶ。

「ねえ、ケーキが食べたいわ。とびっきりに甘いやつ」

「もうすぐディナーですし、その後になさった方がいいのではないでしょうか?」

「……そうね、そうするわ」

 甘いものを食べて気を紛らわそうとしたけれど、メイドの一言でふと我に返った。

 お肌にも悪いし、涼のせいで太るなんてなんだか悔しいし。

 涼のことだって明日になればどっちの涼なのか分かるし、今日はもう何も考えないようにしよう。